『ハチはなぜ大量死したのか』 [ご案内]

友人のO弁護士が、興味深い文章を送ってくれましたので、一部をご紹介します。
『ハチはなぜ大量死したのか』著者 ローワン・ジェイコブセン からの抜粋です。

 ハワードは、農法と食物生産を成功させること、すなわち作物、家畜、人々がみな健康でいられるようにするには、バランスをとることが欠かせないと考えた。どのような農業的な企てであっても、それを持続して繁栄させるには、自然を模した均衡状態を作り上げることが必要だと。あらゆるものは、健康な土壌の上に存在する。健康な土壌には、腐植土を分解するのに必要な微生物、健康な植物を育てるのに必要な微量栄養素、水分を保つのに必要な仕組みをはじめ、そのほか多くのものが含まれている。成長と腐朽はバランスがとれた関係にあるべきで、作物と家畜の組み合わせは、土壌から肥沃さが奪われたときに、それを戻すような関係になければならない。健康的な農場は、農家の手をほとんどわずらせずに自ら健康が保てる作物と家畜を作り出すことになり、ひいては、自ら健康が維持できる人々を作り出す。
「不均衡」が生じたとき、自然はそれを通告するとハワードは信じていた。この不均衡の伝令官は、システムで何かがうまくいっていないときにのみ足がかりを得る寄生虫だったり病気だったりすることがよくある。そのため、寄生虫や病気は農民の敵ではなく、むしろ味方なのだ。疲弊した土壌、遺伝的に脆弱な作物や家畜などといった修復しようのない大損害に見舞われる前に、システムの脆弱な点を明らかにしてくれるのだから。


 問題は、農場が現代的な経済システムに吸収されてしまったことにある。ウエブスターもおそらく同意見だろう。その結果、農業経営者は今、会社経営者のように物事を考え行動するように迫られている。農業経営者がビジネスに聡くなるのは何も悪いことではないが、農場(少なくとも環境に気遣う農場)は、ほかの事業のように運営することはできない。事業は、無限に成長を続けることを前提としている。事業を興すときは、五年間の事業計画を立て、巨額の資金を借り受けて、利子の支払いより事業の成長が上回ることを望む。これは、ニューウェーブの消費者たちが事業に資金を一局集中することを前提としたねずみ講の一種だ。そして、常により多くの製品が生み出されることが当然のこととして期待されている。どれほど会社が成熟しようとも、今以上の製品を作り出すのが当然だと思われているのだ。もしコカ・コーラ社やエクソン社の売り上げが横ばいだったら、株主たちは会社を猛烈に批判することだろう。
 けれども、生物システムの世界では、癌を除けば、無限の成長を続けるものなど存在しない。健康的な農場は自然のサイクルの中にある。つまり、順調な成長と順調な腐朽という、うまく維持されたバランスがとれているのだ。経済的な成長を遂げるには、より多くの土地を農地に変えるか、同じ土地からより多くの収益を上げようとするかのどちらかを行わなければならない。この二つは、過去半世紀以上にわたって、農業の基本的な潮流になってきた。だが、そのどちらも無限に続けられるわけではない。土地は有限だし、農業経営者がより多くの収穫を土地から搾り取ることを可能にしてきた技術革新のほとんどは、土壌の長期的な健康を犠牲にすることで成し遂げられたものだ。言い換えれば、技術革新には、代償がつきまとう。化石燃料の場合と同じように、1000年以上にもわたって築かれてきた資源(肥沃さ)が吸い取られ、たった一年間のどんちゃん騒ぎに使われてしまっている。


「成長!成長!」と声高に号令される世の中ですが、
”生物システムの世界では、癌を除けば、無限の成長を続けるものなど存在しない。”
この言葉に照らせば、原発も、その ”癌”の一部ではないのか・・・・・・そんな気もします。TPPは、その ”癌”を世界中に広める仕組みでしょう。自然が鳴らす警鐘を無視し続けた果ての、グローバルという名の侵略経済の破たんは目の前にあります。

nice!(0)  コメント(0)  トラックバック(0) 

nice! 0

コメント 0

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

トラックバック 0

岩上安身さん2012.2月のおたより ブログトップ

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。